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【コラム:インターネット広告(純広)】ゲーム内広告を再考して

[07年05月28日]

最近何かと話題のゲーム内広告。
このコラムでは、ゲーム内広告の現状を、営業の現場からの視点で再考してみたいと思います。

ベースとして、利害の異なる広告主、広告代理店、媒体社の3つの立場から、ゲーム内広告というビジネスを分析し、最後にはちょっとした将来の展望を描いてみたいと思います。

なお、筆者は広告代理店の人間なので、広告代理店からの視点はより主観的になり、逆に広告主と媒体社の視点は二次情報にたよりがちになってしまうことはご了承ください。


最も前のめりな広告代理店

ゲーム内広告に対して最も積極的な動きを見せているのは、広告代理店です。
2006年には、オプト、サイバーエージェントが続けざまにゲーム内広告専門会社を設立し話題になりました。

アメリカでもマイクロソフトがゲーム内広告用の配信技術をもつMassiveを買収。続いてグーグルもAdScape Mediaを買収しました。

MassiveやAdScape Mediaの持っている技術はいずれも広告サーバーを持ち、複数のゲームに共通のフォーマットで広告を配信しようとするいわゆる「アドサーバー型」モデルで、「ゲーム内広告」もしくは「InGame Ad」という言葉からは一番イメージのしやすいモデルです。

MSNやグーグルもコンテンツをもつゲーム会社に対して広告のプラットフォームを提供して、広告主を募るという意味では、広告代理店に近いポジションと言えます。

広告代理店にとっては、競争が激化している既存の市場に対して、新たな市場を生み出すかもしれないゲーム内広告の可能性は魅力的です。
各社が先行者メリットを享受すべく積極的な投資を行っています。

(参照:アドプレインに聞く、ゲーム内広告の現在、過去、未来[エキサイトWebAdタイムス])
(参照:ゲーム内広告を成功させるポイントは「広告の必然性」[ニッチメディアニュース])


あくまでもユーザー課金がメインのオンラインゲーム会社

日本では、オプトの設立したアドバゲーミングや、サイバーエージェントの設立したアドプレインなどのゲーム広告専門会社がゲーム会社各社を回って、ゲームの広告化の話をもちかけているようです。

しかし、積極的な広告代理店からのアプローチに対して、ゲーム会社側が、どうも「つれない」。

ゲーム会社側にとっても、新たな収益源となるはずの広告の導入ですが、ほとんどのオンラインゲームの主たる収益源はユーザーからの課金。

そのため、オンラインゲーム会社にとっては、まず面白いゲームを作ってユーザーの支持を集めることが最重要関心事であり、どうしても広告はオマケ的な位置づけになってしまいます。

また、ゲームはユーザーのエンゲージメントが高く、逆に広告などの外部要素が入り込みにくいという点があります。

NEXON Japan代表のDavid K.Lee氏は、4Gamerのインタービューの中で、オンラインゲーム会社は単にゲームを配給するだけでなく、「オンラインのエンターテイメント」を実践し、「単なるゲームポータルではない,1つ上のレイヤーであるメディア的なポジションに移れればよいかな,と考えています。」
と述べています。

テレビ、ゲーム機、インターネットメディアなどに対して、オンラインゲームの重要性を高め、1つのメディアとしてのポジションを確立しようとする野望が垣間見えます。

ゲームのストーリーや世界観を壊してしまっては、本末転倒ですし、そもそもプレイやアイテム購入で課金しているユーザーに対して、さらに広告を見せることは難しいというのがゲーム会社の本音のようです。

(参照:オンラインゲーム界の覇者を目指す男,ネクソンジャパン社長David K.Lee氏インタビュー【後編】[4Gamer.net])
(参照:ゲーム内広告はオンラインゲーム事業にとって両刃の剣[CNET Japan])


広告主にとっては?

では、広告主にとってゲーム内広告とはどういう位置づけなのでしょうか。

広告主にとって、ゲーム内広告は、


  • 費用対効果が見えにくい

  • 一部の人にしかリーチができない

  • 活用法のイメージがわきにくい


など、まだまだ懐疑的な態度をとる企業が大半です。

一方で、ゲームへのエンゲイジメントの高さを逆に利用し、プロモーションに使うアドバゲーミング的な手法が、最近注目されています。

すでに出来上がっている世界観に入りこむのではなく、プロモーションの一部としてゲームを取り込む手法が広告主にとっては、ユーザーからの反発のリスクもなく実施できる取り組みやすい形式のようです。

ただ広告代理店にとっては、ゲーム内広告にしてもアドバゲーミングにしても、毎回キャンペーンの度にゲーム内広告の企画提案をしていくのは「正直しんどい」のが本音。

また、ゲーム会社にとってもキャンペーン毎にゲーム内のアイテムを作ったり、アバターを作ったりするのはけっこうな手間となります。
また、多くのゲームが開発部隊や版権が韓国側にあったりして、ゲームの中をいじることが日本側からは気軽にできないという特殊な事情もあったりします。

ゲーム内広告が持続的な成長市場になるためには、現在のマニュアル的な企画広告から、デジタルなアドサーバー型に切り替わっていく必要があるようです。


ゲーム内広告にもグーグル革命か?

先日のニュースで明らかになったのは、巨人グーグルがこれまでWEBの世界で培ってきたテキスト広告の技術をオンラインゲームの世界にも応用しようとしている、ということです。

これまで、ゲーム内の広告では、ゲーム内の看板やアイテムに広告を配信しようとするのが一般的でしたが、グーグルが目をつけたのは、ゲーム内でのテキストチャットや行動履歴です。

(参照:Google to monitor gamers' habits[Total Gaming])

テキストや行動履歴をデータ化して解析を行い、そこにマッチング広告を挿入することで、よりユーザーに親和性の高い広告が配信できます。

テキストチャットは、オンラインゲームにはほとんど実装されており、ゲームの世界観とも共存をしています。
また、テキストベースの広告であれば、原稿の作成も配信も比較的楽にこなせます。

さらに、マッチングの精度が上がれば、広告効果も期待できます。
(チャットで「目が疲れた」と書いたら、すぐに栄養剤の広告が出てきたら、ちょっと気持ち悪いですが。。。)


で、結論は?

グーグルの動きは非常に気になるのですが、日本語対応してくるのは、もう少し先かと考えられ、しばらくは広告代理店主導で、企画提案の時代が続くと思われます。
しかし、その次にくるのはアドネットワークというのが筆者のヨミです。

マイクロソフトかグーグルか、それとも純国産のアドネットワークが登場するのかは分かりませんが、既存のオンラインゲームプロバイダーが、次々にアドサーバーを導入していく時代がやってくるのではないでしょうか。

そして、それまでに「しんどい」思いをしゲーム内広告市場を作っていくことが、現状の代理店にできることなのでしょう。
「しんどい」ですが。。。




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