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【コラム:クリエイティブ】「続きはWebで」ブームに潜む危険な落とし穴-「続きはWebで」の一言だけでは、壮大な理想は理想のまま終わってしまう-

[07年01月31日]

 「続きはWebで」ブームが起きている。
CMを見ても、ポスターを見ても、この言葉やそれに類する導線が張られている。
 
 広告においては、依然、マスメディア(特にテレビ)の力が大きい。
しかし、確実に市場は縮小する傾向にあり、Web広告市場がその穴を埋めているのが現状だ。
 つまり、広告に関わる人々にとって、Webは「得体の知れない何か」から「ちょっと気になる存在」になったのである。まるで、転校生に恋してしまう少年少女のように、未知だったものを次第に知る驚きと、喜びに魅せられていったのだ。

 Web広告の特徴は「効果」が目に見えることだ。これは、今までの広告が良くも悪くも曖昧にできていた部分を、根底から覆す事態であった。
 実はWebの広告とマスの広告の間は、見えない壁で隔たれているのだ。
同じ広告でも、細かい点はことごとく違う。旧来の広告の概念から見れば、広告ですらないのかもしれない。
 
 そんな「異分子」の流入で、少し停滞気味だった広告市場は動き始めた。違うからこそ、相互補完ができることに気がついたのだ。同じパイを取り合うのではなく、足りないピースを埋めるパズルのように、連携を深めていけば、今まで出来なかったことができるようになる。
 マスであるが故に、実際に人を動かせたかどうか分からなかったものが、分かるようになる。
インタラクティブであるが故に、気づかれないまま消えてしまっていたものが、気づいてもらえるようになる。
 
 Webという存在は、既存メディアが並んでいる列の最後に並ぶのではなく、シーソーの反対側に乗って、新たなバランスを取ってくれるものとして見直されているのだ。

 しかし、である。
「続きはWebで」の一言だけでは、壮大な理想は理想のまま終わってしまう。
 
 これは、クリエイティブの責任である。語弊を恐れずに言えば、怠慢だ。
「続きはWebで」と書いただけで、責任を果たしたつもりになってはいけない。

 もしWebが、路地裏の美味い料理を出す、気立てのいい女将が切り盛りする小料理屋だったとしても、矢印だけ書いた看板を通りに出しただけでは、流行る前につぶれてしまうだろう。
 
 企業は、たった15秒、30秒の広告枠を買うために、多額の宣伝費を割いている。
そのうちの数秒を使って「続きはWebで」では、あまりにもったいない。
 
 もっとメッセージを凝縮して、与えられた枠をフルにコミュニケーションに向けるべきである。「Webで」と言わなくても、そこに想像力をかきたて、共感を生むようなストーリーがあれば、人は動くはずだ。
 
 もはやWebと人の距離は、広告制作者が思う以上に縮まっている。
目にしたクリエイティブが、少しでも心を内側から動かすものであるだけで、生活者はWebに接するに十分な「動機」を得るのだ。
 
 これは、Webではなくマスのクリエイティブが得意とする分野のはずだ。
人の心に「何か」を残し、商品や企業との距離を縮める作業、つまりブランドを作っていくには、マスの力が欠かせない。

 例えば、最近注目を浴びているクリエイティブでは「SoftBank」の広告が挙げられる。大物CDが手がけるだけあって、広告クリエイティブの完成度は高い。
 ご存知の通り、問題もあったが、全体としてのクリエイティブの質は非常に高い。
プロの仕事と言える、計算されたクリエイティブがそこにある。

【ソフトバンクモバイルのCM 。ブラッド・ピット編】

 Softbankという会社のブランドイメージを作る、一連の広告クリエイティブ。
あくまで広告だから、企業とマーケティングのフィルターを通した上で、全てのメッセージが作られている。しかも、受け手の中に、確実に「何か」を残していく。

 Webは決して万能ではない。マスもまたしかりである。
その双方の架け橋となり、人を動かす道を作るのは、クリエイティブの力に他ならない。
 
 Webの登場で、広告クリエイティブは大きな変革を迫られている。
メディアのせいにせず、これまで以上に俯瞰的な目を持たなければいけない。
 
 プロとしての矜持を持ったクリエイターこそが、これからのクリエイティブをもっと面白く、もっと効果的なものにしていくのだろう。



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