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【コラム:コピーライティング】Webは2.0、 人はまだ1.0ですか?-Web2.0に踊らされないために、今考えるべきこと

[07年03月07日]

Web2.0とは何か?
この疑問については、既に多くの議論がなされている。
しかし、その人、その時々によって内容は異なり、幅広い意味がある。

まるで、女子高生が何もかもを「かわいい」と言うように、
「Web2.0」という言葉がインターネット上のあらゆる現象や仕掛けを指し示すようになっているのだ。
それほどまでに包括的で、革新的な出来事は確かに存在する。
1つの実態ではなく、複数の要素が作りあげる、形のない総体がWeb2.0なのである。

「言葉によって、初めて世界は区切られ、形を持つ」という考えを展開したのは
言語学の祖フェルディナンド・ソシュールだが、「Web2.0」という言葉も、
満天の星空に突然星座を見い出す瞬間のように、世界に新たな形を生んだのだ。

そして、WEBの周辺で「Googleっぽい」「ソフトいらないかも」などと言われていた様々な事柄が、
その一言に集約され、これからのWebのあるべき姿として語られるようになった。
「Web2.0を意識すると‥」「Web2.0的な仕組みが必要だね」など、
つい数年前までは影も形も無かったものが、ビジネスの中心に座るようになったのだ。

しかし、である。

Web2.0とは、事象の集合であり、日々変化するものだから、明確な定義など存在しない。
それは、ビジネスの根幹に据えるものとしては、あまりにも頼りなく、不安定である。

Web2.0と呼ばれるものは存在するが、その意味は「らっきょうの皮を剥くように」、
近づこうとすればするほど見えなくなっていく。

この現象は、「ブランド」が引き起こすそれによく似ている。
「ブランド」という概念は、普遍とも言えるほど包括的なものだが、
逆に広すぎて実態がつかめず、日常の一コマまで落とし込むことは極めて難しい。

しかし、「ブランド」という言葉はあまりにも包括的で使い勝手がよく、
そんな“欠点”すらも忘れさせてしまった。
だからこそ、未だに企業も広告も、その正体をつかめずに試行錯誤を繰り返している。

「Web2.0」もまた然りなのである。
あまりに便利な言葉であるが故に、その本質が置き去りにされつつあるのだ。

例えば、Web2.0的なものとして認識されているシステムを導入すればいい、
とりあえずユーザー参加型にすればいい、などという勘違いを始める企業や広告会社は少なくない。

言葉の便利さに踊らされず、『なぜWeb2.0が、“今”、好意的に受け入れられたのか』を
念頭において考えていかなければならないだろう。

ただ、クリエイティブから考えると、「Web2.0」というものが実はただの箱でしかなく、
中身はこちらで用意するしかないことがすぐに分かる。

例えば、コピーライターが書くコピーは、企業側からの情報だけを伝えているのではない。
もちろん、企業が発信したい情報を伝えなければ広告として成立しないが、
成立したところで、それだけでは広告として機能しない。
生活者が自分に置きかえて、ついうなずいてしまう言葉。

広告と自分がつながる瞬間を提供して、初めてコピーは広告として機能するのである。

この「コピーの心得」が、実は「Web2.0の心得」を紐解く上で参考になる。
それが、本当に「生活者の視点」に立って生み出されているか?を問われているのだ。

仕事上、対生活者の立場にいながら、一人の生活者としての感覚を突き詰めなければいけない
コピーライターの難しさは、そのままWeb2.0が提供者に求める要求の高さなのである。

Web周りの技術が進化し、出来ることは確実に増えた。
だが、出来ることを全てやることが最善とは言えないだろう。

使いやすいか?見やすいか?など、当たり前の目線を忘れてはお話にならない。
「Webは特別だから」と言って自分達を甘やかしているのは、Web業界人の悪い癖である。

Webも広告も、そして「Web2.0」も、言い訳のためにあるのではない。

Web2.0だろうと、Web19.0であっても、向こう側にいるのは変わらず人間であり、
それはコミュニケーションの手段以外の何物でもない。

ならば、『相手にとってどうかが』が何より先んじて当然である。

Web2.0を構成するのは、ただの技術やシステムの仕組みに過ぎない。
それ単体では何も生み出さないし、解決もしてくれない。
それは、あくまで要素の羅列なのである。

パズルをどう組み合わせ、どんな絵を完成させるか。
それがプロのクリエイターの仕事なのだ。

ブランドがそうであるように、概念はどこまでいっても概念でしかない。
箱の中を、人々をワクワクさせるおもちゃで埋めつくす作業は、人の手に委ねられている。

たとえWeb2.0という言葉が無くても、Web2.0的でいられること。
それが、本当のプロフェッショナルの条件だろう。

本物のWebのプロとはコミュニケーションのプロ、つまり対人間のプロなのである。

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