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【コラム:Web2.0活用】第2回企業内Web2.0的情報共有を軌道を乗せるためには-、「情報発信をしたい!」というモチベーションを刺激し続けることが必要-

[07年07月02日]

社内SNSやオフィスWikiなどのWeb2.0技術を用いた社内情報共有実現のため、もともと面倒で活性化するはずのない各自の情報発信をどのように自然発生的に行われるよう促していけばよいか。

前回のコラム『企業での情報共有において、SNSやBlogは単なるツールに過ぎない』で述べたように、導入直後は経営陣を巻き込んでのルール化で強制的に行うにしても、いつまでも「ルールだからやれ」だけで続くものではない。

また、情報発信者もやらされている感を持ちながらでは、情報を提供しようというモチベーションが上がらず、たとえ価値ある情報でも良質でわかりやすく整えられた情報になりにくいだろう。
やはり、「情報発信をしたい!」というモチベーションを刺激し続けることが必要になる。

情報発信に限らず、モチベーションを刺激し人を動かすことは、なかなかに難しいことである。
相手がシステムではなく人間であるから、そうそう自分の思いどおりに動いてくれるものではないのだ。

ここはもう技術的なことはいったん忘れて考えたほうがよい。
システム改善などではなく、人間の欲求をストレートに刺激することが必要なのである。

Web2.0的な話題を期待して読んでくださっている方には申し訳ないが、企業内で情報共有を活性化するためには、避けては通れない課題なので、何卒ご容赦願いたい。
前回のコラムでも少し述べたように、そもそも企業内情報共有とはエレガントでシステマチックな改善より、人間的な泥臭い活動が必要なのである。

さて、その人間の欲求を刺激するために、一つの説をご紹介したい。
マズローの欲求5段階説なるものをご存知だろうか。

ご存知ない方のために簡単に説明すると、「人間は次の5段階にわかれた欲求を持ち、1段階満たされると次の段階欲求を、と段階的に欲求を満たそうとするもの」だという説である。

  • 第一段階 生理的欲求(Physiological Needs)
  •        =食欲や睡眠欲など人間が生きていくための欲求
  • 第ニ段階 安全への欲求(Safety Needs)
  •        =外敵や病気、事故などの危険から自らを遠ざけ、安全に生存したいという欲求
  • 第三段階 帰属(愛情)への欲求(Belonging Needs)
  •        =他人から好かれたい、よく思われたいなどの、社会的帰属への欲求
  • 第四段階 尊敬への欲求(Esteem Need)
  •                =地位欲や名誉欲など、他人から尊敬、尊重されたいという欲求。
  • 第五段階 自己実現への欲求(Self-actualisation)
  •        =自分がなりたい自分になることへの欲求

情報発信のモチベーションを上げるためには、この5段階の欲求を満たすことを考えると答えに辿り着きやすい。
欲求の第一段階である生理的欲求や、第二段階である安全への欲求は、現代日本においてはすでに確保されていて、少なくとも企業内SNSやオフィスWikiなどの先端技術を使おうとする企業に勤める方にはすでにクリアされている欲求のように感じられるかもしれないが、刺激する余地は十分にあるのだ。

単純な話、情報発信したくなるように生理的欲求を刺激するには、情報発信者に何らかのインセンティブを与えればよい。
これまた泥臭いが、「投稿記事を一本アップすればこれだけの対価をあげますよ」という、きわめて原始的な手法である。

大切な経営資源をリアルに投入することになるため、企業によってはなかなか導入しにくいかもしれないが、インセンティブが高価になればなるほど、モチベーションは上がるだろう。

また、安全への欲求を確保してあげることも軽視すべきではない。
Web2.0情報共有システム上では、情報発信することによって、他人から攻撃されることから守ってあげることが必要不可欠なのである。

とは言っても、発信された情報を読んで不快に思った誰かに暴力をふるわれることから体を張って守れ、ということではない。
もちろんそれが含まれないわけではないが、情報発信者が誹謗・中傷を受けたり、情報発信者の評価が下がるようなことがなく、安心して書き込める体制や企業風土を確保してあげることが必要、ということだ。

そのためには、Web2.0情報共有システム導入担当者が自ら陣頭に立ち、情報発信することの必要性や大切さ、そして会社として推奨されていることだというオフィシャル性を訴えなければならない。

第三段階の帰属(愛情)への欲求を刺激するには、情報発信者の発信する情報が「価値あるもの」と評価され、情報発信者がそれを感じられることが重要である。
つまり、情報を発信したことで与えたインパクトを可視化することだ。

社内SNSであれば、自分の書き込んだ記事に対する閲覧数やコメント返信数、提供した資料のダウンロード回数などを数値化して情報発信者がわかるようにすればよい。
システムがASPの場合は改良が難しいかもしれないが、逆にこれらがわからないと、なかなか情報発信者のモチベーションがあがらないだろう。

コメントが返信されたり、リアルで「ありがとう。参考になったよ」と声をかけられればよいが、すべての情報発信にそれらがなされることはあまり期待できない。
レスがない場合でも、自分の情報発信に対して周りがどれだけ反応したか、影響を与えたかが数値となって可視化されることで、書き込み者も帰属意識を感じることができるのだ。

第四段階の尊敬の欲求、これはぜひとも刺激したいところだ。
なぜならありがたくも積極的に情報発信しようとしてくれる人間は、往々にして自己顕示欲があり、注目を受けることに快感を覚える場合が多いためだ。

これを利用しない手はない。
社内SNSで有効な記事を書き込んだ場合などは、書き込み記事を大々的に広報したり、閲覧数やコメント返信数の多さを称えたりすればよい。

情報発信者の記事へのリンクを貼ったメールを社内に向けて送ったり、閲覧数やコメント返信数をランキングにして発表したりするのもよいだろう。
とにかくスポットライトを当てまくる、これに尽きる。

そうすることによって自然発生的に「あいつの記事いいよなぁ」と口コミが始まればしめたものである。
スポットライトを当て続けることでブランディングが生まれる情報発信者も現われるだろう。

最後の、自己実現への欲求となる第五段階の欲求を刺激することはできなくもないが、なかなかWeb2.0情報共有システム上だけで実現することは難しいだろう。
「自分はこうしたい」「こうなりたい」というような情報発信があった場合、それを後押しするような認知活動を行うことぐらいだろうか。

たとえばQ&Aシステムや社内SNSで「自分はこんなスキルを身に付けたい。なにかおすすめの講座や本はないか?」という書き込みがあったとき、ほかの知っていそうな社員に何かしらのレスをしてもらう、というような具合だ。
何かしらうまいレスが返せればよいが、役に立つレスがなされない場合は「Web2.0情報共有システムは役に立たない」というマイナスブランディングにつながるリスクが高いため、推奨するには慎重を期すべきである。

その点においては情報を求める情報発信があった場合、良質の情報を返せる組織であることも情報共有システムを軌道にのせるためのファクターだといえるかもしれない。

能動的な情報発信を促し、情報共有するためのコンテンツを集めるためには、これまで述べてきたように人間の本来持つ欲求に対して泥臭くストレートに働きかけ続けることが必要である。
Web2.0情報共有システムの導入担当者となる方にとっては根気のいる作業であるが、「何も情報発信されないのが当たり前」というスタンスでもって、粘り強く取り組んでもらいたい。


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